2014年10月25日
Keywords: 定常型社会
イメージ画像: Photo by Toshihiro Gamo Some Rights Reserved.
日本は世界の先陣を切って、人口減少・高齢化社会に突入しつつあります。これらは日本だけの問題ではなく、今後、世界的にも大きな問題となると考えられています。2014年6月号のニュースレターでお伝えした、日本で課題のひとつになっている「東京一極集中」の解消に関連して、都市に暮らす若者の意識の変化について、世論調査の結果からご紹介します。
総務省統計局が2014年4月15日に公表した「人口推計(平成25年10月1日現在)」によると、日本の総人口は1億2729万8千人で、うち東京都が1330万人と10.4%を占めています。10人に1人は東京都に住んでいる計算となります。
日本の総人口は3年連続で大きく減少する中、都道府県別では、減少は39道府県、増加は8都県でした。増加率は、東京都(0.53%)が最も高く,前年に比べても増加率は上昇。総人口は減少する中、東京への集中が続いていることがわかります。
かねてから、東京都への過度な人口集中が地方の疲弊や過疎化にもつながっていると指摘され、持続可能な国づくりのためには、この傾向を何とかしなくてはなりません。そんな中で、興味深い調査結果が発表されました。
内閣府が2014年8月9日に発表した「農山漁村に関する世論調査」(3,000人を対象)結果によると、現在「都市地域」または「どちらかというと都市地域」に住んでいる人の約3割が農山漁村地域に定住してみたいという願望があることがわかったのです。その割合は、2005年11月に実施した前回の調査結果に比べて、20.6%から31.6%へと大きく増えています。
性別では、男性のほうが「ある」と回答する人の割合が高く、年齢別では、20代が38.7%と最も高く、次いで、40代の35.0%、60代の33.7%でした。20代の4割近くが、農山漁村への定住願望を持っているということは、これからの日本が変わっていくひとつの兆候ではないかと思います。
農山漁村地域への定住願望実現のため必要なことを聞いたところ、「医療機関(施設)の存在」が68.0%、「生活が維持できる仕事があること」が61.6%と上位を占めています。
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図1.農山漁村地域への定住願望実現のため必要なこと
内閣府 農山漁村に関する世論調査より
一方、居住地域が「どちらかというと農山漁村地域」、「農山漁村地域」と答えた人(700人)に、都市住民が農山漁村地域に定住することをどう思うか聞いたところ、「良いことだと思う」の割合は85.3%で、前回の調査結果65.7%から上昇。受け入れ側の意識も前向きになってきていることがわかります。
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図2.都市住民が農山漁村地域に定住することの意識
内閣府 農山漁村に関する世論調査より
同時に、都市住民が農山漁村地域に定住する際の問題点を聞いたところ、「都市住民が定住するための仕事がない」という人の割合が63.0%と最も高く、その割合は前回の調査結果54.0%よりも上昇しています。
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図3.都市住民が農山漁村地域に定住する際の問題点
内閣府 農山漁村に関する世論調査より
居住地域が「どちらかというと農山漁村地域」,「農山漁村地域」と答えた人(700人)に、農山漁村地域で生活していく上で困っていることは何か聞いたところ、「仕事がない」を挙げた人の割合が32.7%と最も高く、地方で暮らしを続けるにも、移住するにも、「仕事をどう作るか」が大きな鍵を握っていることがわかります。
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図4.農山漁村地域での生活で困っていること
内閣府 農山漁村に関する世論調査より
そのあたりのくふうや取り組みについても、今後お伝えしていけたらと思っています。どうぞお楽しみに!
(枝廣淳子)