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2011年08月13日

 

京大他 色素増感高分子太陽電池での界面配置原理を解明

Keywords:  環境技術  再生可能エネルギー  大学・研究機関 

 

科学技術振興機構(JST)と京都大学は2011年4月27日、京都大学・大北英生准教授らが高分子太陽電池の色素増感を用いた高効率化を実証するとともに、その原理を世界で初めて解明したことを発表した。

有機薄膜太陽電池の一種である高分子太陽電池は、高分子とフラーレンを混ぜた膜で構成されていて、印刷プロセスによる安価な大量生産が可能なため、次世代太陽電池として注目されているが、光の吸収を主に担う高分子が可視光領域しか吸収しないため変換効率が低い(8%以下)ことが障壁となっている。高効率化のために、太陽光の約4割を占める近赤外光を吸収する色素を高分子とフラーレンの界面に配置することが考えられてきたが、高分子太陽電池を作成する溶液プロセスでは、内部構造の制御は困難であった。

今回の研究では、2009年に大北准教授らが作成に成功した「色素増感高分子太陽電池」について、色素(シリコンフタロシアニン)が高分子(ポリヘキシルチオフェン)とフラーレン(PCBM)の界面に自発的に配置する原理を明らかにした。まず、せっけんに代表される界面活性剤が、水と油との中間の表面エネルギーを有するため界面に安定して存在する原理と同様に、色素が高分子とフラーレンとの中間の表面エネルギーを有する場合に界面に配置することが分かった。さらに、海水をゆっくり凍らせると塩分が除かれながら氷が成長する様子に似て、高分子の結晶化が色素の界面配置を促進することが分かった。

この発見により、今まで困難であった高分子太陽電池への色素増感の応用が飛躍的に進むものと期待されている。

軽くて折り曲げできる太陽電池(関連のJFS記事)
http://www.japanfs.org/ja/pages/023193.html


登録日時:2011/08/13 06:00:15 AM

English  

 

参照元

せっけんに学ぶ高分子太陽電池高効率化の原理の解明
-新概念の「色素増感高分子太陽電池」の実現に貢献-
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20110427/
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/110427_1.htm


 

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