政策・制度・技術

2011年08月11日

 

国立環境研究所 微生物を用いた放射性セシウムの除去

Keywords:  環境技術  化学物質  大学・研究機関 

 

細菌を利用した放射性セシウムの除去や測定手法の開発に関する研究を行っている国立環境研究所の研究グループが、土壌中の細菌を培養し、セシウム濃縮能を検討した結果、土壌中に存在する細菌の約10分の1に濃縮能力があることをつきとめた。

このセシウム蓄積細菌を透析チュ-ブ内に入れ、放射性セシウムの入った水溶液につけると、液中の放射性セシウム濃度は時間に反比例し、32時間後には初期濃度の25%にまで減少した。この時点で細胞中の放射性セシウム濃度は、初期の水溶液中濃度の7,500倍に濃縮されたことになる。

放射性セシウム汚染測定の際、通常は濃縮操作が必要であるが、このセシウム蓄積細菌を用いて簡便に濃縮操作が行える可能性が示唆される。微生物の能力を利用した試みとしては、リン酸を濃縮する細菌を用いた排水のリン除去や、ウラン酵母への濃縮を利用した海水からのウラン濃縮等がある。

冨岡典子主任研究員によると、セシウム蓄積細菌は海水では利用できず、また温度や酸性度などの制約条件により実用化には課題が残るとしているが、福島原発事故による放射線問題が続く中、新たな放射性物質除去法として期待される。

登録日時:2011/08/11 06:00:15 AM

English  

 

参照元

国立環境研究所 微生物による環境汚染物質の濃縮
http://www.nies.go.jp/kanko/news/15/15-1/15-1-06.html


 

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