震災からの復興

2018年03月08日

 

海で遊ぶ楽しさ 子どもたちに

Keywords:  震災復興 

 

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東日本大震災の被災者支援プロジェクト「JKSK結結プロジェクト」が、東京新聞への連載を通じて被災地復興の様子を伝える「東北復興日記」。今回は、2017年7月11日に掲載された、被災した子どもたちに笑顔を取り戻す取り組みをご紹介します。

宮城県南三陸町の「さとうみファーム」の前身は、東日本大震災後に川崎市で発足したボランティア団体でした。より被災地の地元に根ざした活動をしたい、と2012年に一般社団法人化しました。私は平日には川崎で保育士として働き、3カ月に一度ほど南三陸町に通って、事務局長として約5年、ボランティアで活動に参加しています。

震災から1年たったころのこと。週末の子ども向けイベントや漁師さんの手伝いなどをする中、がれきが残りトラックが常に往来する町で「子どもたちの姿が見えない。毎日どこで遊んでいるのだろう」と疑問が浮かびました。地元の方に尋ねると「今は仮設の駐車場で遊んだり、安全に遊ぶために40分以上かけて隣町まで行ったりしている」。子どもたちが楽しく生活する環境には程遠い現実を目の当たりにしました。

「子どもが笑顔になれば大人も笑顔になれるはず」――。そんな思いで活動していた私たちは、個人や企業などから多くの支援をいただき、2013年に公園を整備しました。その後、活動を継続するために羊の観光牧場を始めました。捨てられていたワカメの茎を活用した飼料を与えた、ブランド羊肉の研究・販売にも着手しました。羊毛製品も製作しながら、家族で一日ゆったり過ごせる場所づくりを目指して奮闘しています。

この5年間、継続している活動のひとつにカヤック体験教室があります。津波で怖い思いをした子どもたちが、海で遊ぶ楽しさを思い出すきっかけになってほしいと、2012年9月に初開催。保護者の中には「震災後初めて海で泳ぎました」「また海でこんな笑顔を見せてくれるとは思わなかった」と涙される方もいました。

一般社団法人さとうみファーム
事務局長 浅沼裕美

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