ニュースレター

2016年10月10日

 

LGBTの人々が働きやすい職場づくりをめざして

Keywords:  ニュースレター  ダイバーシティ  レジリエンス  共生社会  幸せ 

 

JFS ニュースレター No.169 (2016年9月号)

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イメージ画像: Photo by krytofr Some Rights Reserved.

任意団体 work with Pride(wwP)は2016年6月、LGBTなどの性的マイノリティ(LGBT)に関する企業の取り組みを評価する指標を、日本で初めて策定しました。指標案を検討するワーキンググループには、24の企業・団体有志が参加。半年にわたって議論を重ねました。

この指標は、LGBTの人々が誇りを持って働ける職場の実現を目指し「PRIDE指標」と名づけられました。PRIDEの各文字に合わせて、

Policy(行動宣言)
Representation(当事者コミュニティ)
Inspiration(啓発活動)
Development(人事制度・プログラム)
Engagement(社会貢献・渉外活動)

の5項目で構成されています。

今月のJFSニュースレターでは、PRIDE指標の内容をご紹介します。


PRIDE指標

1. <Policy:行動宣言>評価指標

会社としてLGBT*等の性的マイノリティに関する方針を明文化し、インターネット等で社内・社外に広く公開していますか。

  • 方針には以下の内容を含むものとする:性的指向*、性自認*(または、同等の意味を持つ別の言葉)に基づく差別をしない(または、尊重する)。
  • 今年度は性的指向、性自認(または、同等の意味を持つ別の言葉)のいずれかが含まれていれば要件を満たしていると評価する。
  • 単独の方針でも、行動規範や人権方針、ダイバーシティ宣言等の一部に含まれていてもよい。

* LGBT:レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシュアル(bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)の頭文字。性的マイノリティにはLGBT以外の多様なアイデンティティを持つ方もおられますが、本指標では便宜的に性的マイノリティ(性的指向、性自認に関するマイノリティ)の総称として使用しています。
*性的指向:同性愛、両性愛、異性愛など、好きになる相手の性別に関する概念。特定の人を好きにならない(無性愛)等も含む。
*性自認:自分で自分の性別をどう考えるか、という概念。身体上の性別とは必ずしも一致しない。また、必ずしも男女のどちらかとは限らない。

取り組みのポイント

  • 方針には性的指向、性自認の両方を含むことが望ましい。
  • 「会社の従業員に対する姿勢」と「従業員の行動規範」の2つを包含した方針であることが望ましい。
  • 採用方針として学生等に伝えることが望ましい。
  • 方針を社内に浸透させるためには、方針を出すだけでなく、経営トップが社内外に対し方針に言及することが望ましい。

次に期待される取り組み

  • お客様・取引先に対する方針の明文化と公開。

2. <Representation:当事者コミュニティ>評価指標

当事者・アライ*(支援者)に限らず、従業員が性的マイノリティに関する意見を言える機会を提供していますか。(社内のコミュニティ*、社内・社外の相談窓口、無記名の意識調査、等)
また、アライを増やす、顕在化するための取り組みがありますか。

*アライ:LGBTを積極的に支援し、行動する人のこと。
*コミュニティ:目的を共有している人の集まり。ここではLGBTの働きやすい職場をめざす人の集まりを指します。リアルな集まり、メーリングリストやSNS等でのネットワークのいずれでも結構です。

取り組みのポイント

  • コミュニティはLGBTの働きやすい職場づくりのためのものであり、アライも参加できることが望ましい(当事者だけがメンバーである必要はない)。
  • コミュニティを立ち上げる際は、当事者をあぶりだすことにならないよう、無理に当事者であるか/アライであるかの確認を行わないことが大切である。
  • 当事者コミュニティの立ち上げが難しい場合、相談窓口の設置や会社として社外のコミュニティに参加することから始めてもよい。

3. <Inspiration:啓発活動>評価指標

過去3年以内に、従業員に対して、性的マイノリティへの理解を促進するための取り組み(研修、啓発用メディア・ツールの提供、イントラ等での社内発信、啓発期間の設定、等)を行っていますか。

取り組みのポイント

  • 全ての従業員への研修を目指し、以下のような順序で実施するのがよい。
  1. 人事部門への研修(特に採用担当者への研修が重要)
  2. 管理職への研修(必須とすることが望ましい。ある企業で、まず管理職に研修を行い、管理職がアライになったことから、部下が安心してカミングアウトできたという事例がある)
  3. 全従業員に順次展開(例:本社で実施し店舗や製造拠点に拡大、正社員に実施し契約社員や派遣社員に拡大)
  • 新入社員や中途雇用社員には、雇用時に実施することが考えられる。
  • カミングアウトを受けた人が周囲に言いふらす等の行動を取ることがないよう、当事者からカミングアウトを受けた際の対応について教育を行う。
  • 「性的指向」「性自認」の両方に関する内容が含まれていることが望ましい。
  • 例えば「セクシュアリティ*に関する会話で気をつけるべきこと」というテーマでグループワークを行うなど、言葉だけでなく「考え方」を理解するための取り組みがあれば、なおよい。
  • 新入社員や中途雇用社員には、雇用時に実施することが考えられる。

*セクシュアリティ:性のあり方。性的指向や性自認を含む概念。

次に期待される取り組み

  • 1回限りでなく継続して実施している。
  • 意識調査等で社内の理解浸透度を確認しながら進めている。

4. <Development:人事制度・プログラム>評価指標

以下のような人事制度・プログラムがある場合、婚姻関係の同性パートナーがいることを会社に申請した従業員およびその家族にも適用していますか(申告があれば適用しますか)。(今年度の評価では「取り組みを始めることに意義がある」と考え、1つでも当てはまれば「達成している」と評価します。なお、LGBTのための人事制度・プログラムは、以下の項目に限定されるものではありません。)

  1. 休暇・休職(結婚、出産、育児、養子縁組、家族の看護、介護など)
  2. 支給金(慶事祝い金、弔事見舞金、出産祝い金、家族手当、家賃補助など)
  3. 赴任(赴任手当、移転費、赴任休暇、語学学習補助など)
  4. その他福利厚生(社宅、ファミリーデー、家族割、保養所など)

トランスジェンダーの従業員に以下のような施策を行っていますか(申告があれば適用しますか)。(一つでも当てはまればYes)

  1. 性別の扱いを本人が希望する性にしているか(健康診断、服装、通称など)
  2. 性別適合手術・ホルモン治療時の就業継続サポート(休職、勤務形態への配慮など)
  3. ジェンダーに関わらず利用できるトイレ・更衣室などのインフラ整備

取り組みのポイント

  • 制度の存在や利用方法を社内に周知させることが重要である。
  • 制度を利用する際に、通常の申請手続き以外に、周囲の人に知られずに申請できるなど、本人の希望する範囲の公開度を選択できる柔軟な申請方法となっていることが望ましい。
  • 当事者が自身の性的指向や性自認についてカミングアウトした結果、職場の上司や同僚などからの不適切な言動等の問題が発生する場合がある。このような場合は、(1)当事者を保護するための措置(例:カウンセリング、当事者または不適切な言動を行った社員の異動)、(2)再発防止のための職場への研修の両方を行うことが求められる。
  • 希望があれば、出張や社員旅行等で宿泊時の居室に配慮することが望ましい。
  • 同性愛や異性装が犯罪となる国等への赴任・出張時のリスク対応を行っていることが望ましい。
  • 赴任時に同行するパートナーへの配慮を行うことが望ましい。
  • トランスジェンダーの従業員には、制服の男女共用化(または本人の希望する性別の制服)にも配慮することが望ましい。
  • トランスジェンダーが使用を希望するトイレは、個人によって、また職場の設備によっても変わる(すべてのトランスジェンダーが共用トイレの使用を望む訳ではない)。
  • トランスジェンダーの従業員が望む性別で働くことを希望した場合、人事部門、所属部署、関連部署などでサポートチームを作って取り組みを検討することが望ましい。

5. <Engagement:社会貢献・渉外活動>評価指標

過去1年以内に、LGBTへの社会の理解を促進するための社会貢献活動や渉外活動を行いましたか。
例)LGBTイベントへの社員参加の呼びかけ、協賛、出展、主催、寄付、業界団体への働きかけ、LGBTをテーマとした次世代教育支援

取り組みのポイント

  • イベントの協賛や出展は、社会の理解促進に貢献するとともに、企業の姿勢を社内に伝えるメッセージともなり得る。イベントへの社員参加を呼びかけることで、社員の啓発にもつながる。(社内の取り組みを始めるのが難しい場合、まず社会貢献活動から始めるのも選択肢の1つと言える。)

wwPは、今回発表した指標を、取り組みの範囲やレベルは問わず「取り組みを始めているか」を確認するためのものと位置づけています。今後、日本企業の推進状況に応じて、年単位で適宜、評価指標を見直していく予定です。また、指標発表と同時に、企業の取り組み事例を募集しており、10月26日開催のセミナーにて、取り組みの優れた企業やベストプラクティスの発表を予定しています。

LGBTを含め、多様な人々が働きやすい職場をめざした動きに、今後も注目していきます。

work with PRIDE ウェブサイトより
http://www.workwithpride.jp/pride.html

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