政策・制度・技術

2016年03月20日

 

「アンモニア火力発電」がいよいよ実現か、41.8kWガスタービン発電に成功

Keywords:  環境技術  化学物質 

 

写真:福島再生可能エネルギー研究所
福島再生可能エネルギー研究所
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産業技術総合研究所 再生可能エネルギー研究センター 水素キャリアチームは、東北大学 流体科学研究所との共同研究により、アンモニアを燃料とした41.8kWのガスタービン発電に成功しました。節電・蓄電・発電の最新ニュースを発信しているスマートジャパンの許可を得て、記事を要約し、CO2フリーの水素を低コストに製造・利用できる技術の確立を目指す取り組みについてご紹介します。

日本では「水素社会」の実現に向けた取り組みが政府主導で行われており、2020年の東京五輪・パラリンピックをその見本市とする計画などが進められている。これらのエネルギーインフラを水素に置き換えることを検討する中で、水素をどのような形で貯蔵し輸送するのかという点は重要なポイントとなる。

水素キャリアは、水素を多く含んだ化学物質の形でエネルギーをより簡便に貯蔵・輸送を行うための媒質であり、現在では、有機溶媒に水素を着脱して用いる「有機ハイドライド」と、窒素と水素から合成し、直接燃焼して用いる「アンモニア」が有力視されている。

産業技術総合研究所(以下、産総研)では、再生可能エネルギーの大量導入を支える水素キャリアの研究開発を推進しているが、東北大の流体科学研究所と連携して、アンモニアを直接燃焼させてガスタービンで発電する技術の開発にも取り組んでいる。

アンモニアは一般の燃料より着火しにくく、また燃焼速度も遅いなどの課題があり、アンモニアを燃料とするガスタービン発電はこれまで行われていなかった。しかし、アンモニアの発電用燃料としてのポテンシャルを示すため、さまざまな燃料を利用できるガスタービンを用いた発電の実証試験を行った結果、灯油にアンモニアを約30%混焼させ、21kWの発電に成功している。

その後、アンモニアをメインの燃料としたガスタービン運転を目指した技術開発を進め、大流量のアンモニア供給設備とメタン供給設備を整備して、アンモニアをメインの燃料としたガスタービン発電の実証試験を行った。実証試験は産総研の福島再生可能エネルギー研究所において実施したという。

発電装置は、メタンおよびアンモニアガス双方を大流量かつ安定に供給できる設備を整備するとともに、ガスタービンの燃料流量制御プログラムを改良して灯油、アンモニア、メタンのうち2系統まで任意の組み合わせで燃料供給を行えるようにした。

その結果、定格出力が50kWのガスタービン発電装置を用いて、メタン-アンモニア混焼およびアンモニア専焼により約80%出力の41.8kW発電に成功した。また、燃焼後の窒素酸化物(NOx)を含んだ排出ガスに適量のアンモニアを添加し、脱硝装置で処理することでNOxを環境省の排出基準(16%酸素換算で70ppm)に十分適合できる10ppm未満(16%酸素換算で25ppm未満)までに抑制できたという。

メタン-アンモニア混焼試験では、液体燃料用の噴射弁に灯油を供給してガスタービンを起動した。回転数が安定した状態で26kWの発電を行った後、気体燃料用の噴射弁にメタンを供給してメタン燃焼を行い、灯油供給を停止。続いてメタンにアンモニアを体積流量比1:2.5(発熱量で1:1)になるまで混合しても安定に発電できた。その後、燃料供給と回転数を制御しながら発電出力を段階的に増大させ、定格回転数の80,000rpmで41.8kWを達成したという。

アンモニア専焼試験では灯油を供給してガスタービンを起動した後に、アンモニア供給量を増やしてアンモニア専焼に移行したうえで出力を確認したところ、定格回転数の80,000rpmで発電出力41.8kWを達成した。

これらの試験結果は、天然ガスを主な燃料とする大型火力発電所において、燃料の一部をアンモニアに置き換えるといった段階的な導入や、アンモニア専焼によるCO2フリーの大型発電の可能性があることを意味し、温室効果ガスを大幅に削減できる、水素キャリアとしてのアンモニアのポテンシャルを示しているといえる。

アンモニアの燃焼においては、窒素酸化物などの有害ガスが課題として存在するが、いずれの試験においても燃焼後の排出ガスにアンモニアを適量添加することによりNOxを脱硝装置で処理して排出量を10ppm未満に削減できたという。アンモニア専焼では、未燃アンモニアが11ppm残留したが脱硝装置の下流では検出されなかった。メタン-アンモニア混焼では同じ発電条件でも未燃アンモニアは残留せず、アンモニア専焼よりも燃焼が強化されていることが明らかになったとしている。

今後は、産総研において、メタン-アンモニア混焼と、アンモニア専焼によるガスタービンの特性を詳細に調べ、燃焼強化と低NOx燃焼ならびに実用アンモニア発電システムの実現につながる知見の獲得を目指すという。

出典:スマートジャパン

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