お金の流れ

2015年02月19日

 

日本におけるクラウドファンディング

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写真:READYFOR? ウェブサイトの画面キャプチャ
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日本でのクラウドファンディングは、まだ浸透度は低いものの、少しずつ広がりを見せ始めています。NPO法人 社会的責任投資フォーラム(JSIF)さんのご快諾を得て、2014年3月31日に発行された「日本SRI年報2013」から、日本におけるクラウドファンディングについてお伝えします。

クラウドファンディングは、国内では2012年3月の「READYFOR?」開始をきっかけに広がり始め、現在では確認できただけでも50以上のプラットフォームが生まれている。

クラウドファンディングは、資金拠出者へのリターンにより、寄付型、購入型、投資型の3種に分かれるが、資金の受け手のアイデアや思いへの共感を資金拠出のバックボーンとしている点は共通している。

1.寄付型

「寄付型」は、「オンライン寄付サイト」が、クラウドファンディングの概念が出る以前から存在しているが、近時も設立が相次ぎ、確認できただけで15サイトが設立されている。

また、市民からの意思ある資金によって寄付の媒介や助成等を行う「市民コミュニティ財団」が各地に生まれており、これらを「寄付型」に加える見解もある。

2.購入型

「購入型」は、クラウドファンディングの代表的なプラットフォームが採用している形態である。「購入型」には、ものづくり特化、地域密着型、社会起業家専門、スポーツ専門、アニメ専門などに特化したサイトも多く出現している。

今後注目すべきは、ネットビジネス大手のサイバーエージェント社が 2013年8月にクラウドファンディングに参入したことである。オンライン寄付サイトの主催者中心に、新サイトが開始したことも注目される。両サイトは、ジャーナリストや映画製作など、社会的に注目度の高そうなプロジェクトを発掘することで訴求力を高めている。今後はこの分野での淘汰が進むものと思われる。

3.投資型

「組合型」はミュージックセキュリティーズ社「セキュリテ」のほか、マイクロ投資ファンド全般を含める見解もある。「貸付型」は3社存在していたが、2013年12月に証券会社による初の参入が開始された。「株式型」は国内でのプラットフォームは存在しないが、今後の規制緩和により、参入者が出現すると思われる。

クラウドファンディングが注目される背景は 、(1)SNSなどの普及で、共感が他の人に伝わりやすい状況が生まれている、(2)社会的プロジェクトやアート・モノづくりのアイデアを形にする上で、他に適切な資金調達手段がなかったことなどが考えられる。

しかし、スマートフォンユーザーを対象とした調査ではクラウドファンディングの認知は 13%、利用経験者は4%であり、クラウドファンディングの浸透はこれからである。

寄付型・購入型は規制が穏やかであり、多くのプラットフォームが生まれている一方、詐欺的な案件の出現も懸念される。投資型は、「株式」の募集の取扱いで、「第1種金商業者」登録が必要であり、「ファンド持分」募集の取扱いは、「第2種金商業者」の登録が必要である。融資の仲介は事実上不可能など、規制が厳格で新規参入が阻害されている。

こうした状況に対し、クラウドファンディングでの基本的な指針やマニュアルを定義づけ、発展を安全、安心な物にするため、「クラウドファンディング協議会」の設立準備が進んでいる。

政策面では、金融審議会「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ報告書」で、投資型クラウドファンディングへの規制緩和が打ち出されている。

「日本SRI年報2013」(発行:NPO法人 社会的責任投資フォーラム)より

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