生物多様性・食糧・水

2013年06月05日

 

急拡大するバイオマス発電で進む森林資源の利用

Keywords:  生態系・生物多様性  NGO・市民  再生可能エネルギー 

 


出力5,000kW以上の比較的大規模なバイオマス発電が全国各地で計画されている。2013年5月に発行された「バイオマス白書2013」によると、現在、全国で60カ所以上の木質バイオマス発電の計画があり、出力1万kWを超える大規模な計画も多く含まれている。

こうした計画では、従来あまり活用されてこなかった森林資源として、間伐材などの「未利用木材」を大量に利用することを想定している。大規模発電所では、燃料として1カ所あたり年間数10万立米を超える大量の未利用木材が必要となるが、それには広域からの調達が欠かせないため、地域資源としての森林の適正な活用の観点からは多くの課題がある。

これまでのバイオマス発電では、主に都市ごみや建築廃材などの廃棄物が用いられてきた。しかし、2012年7月からスタートした固定価格買取制度では、発電方式や使用する燃料の種類に応じて買取価格が設定されており、メタン発酵によるバイオガス発電や未利用木材を使った木質バイオマス発電は、ほかの廃棄物系の燃料よりも高い買取価格が設定され、優遇されている。ただし、よりエネルギー効率の高い熱電併給(コジェネレーション)への優遇などは考慮されておらず、本来、普及を促進すべき比較的小規模な木質バイオマスの熱利用の施策整備も進んでいない。

2012年2月に複数のNGOから共同で提言された「日本におけるバイオマスの持続可能な利用促進のための原理・原則」では、温室効果ガスの削減や健全な生態系の保全など、適切な固定価格買取制度の設計のための経済・社会的配慮が必要としている。

環境エネルギー政策研究所 (ISEP)
松原弘直

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