ニュースレター

2011年11月15日

 

自然に学ぶ技術が地球を救う Part.2

Keywords:  ニュースレター 

 

JFS ニュースレター No.110 (2011年10月号)
シリーズ:JFS「自然に学ぼう」プロジェクト 第2回  インタビュー
東北大学大学院環境科学研究科教授 石田秀輝先生

JFS/Technologies to Save the Earth -- Learning from Nature (Part 2)
Copyright: Japan for Sustainability

今回は、前回に引き続き、東北大学大学院環境科学研究科教授の石田秀輝先生へのインタビューをお届けします。

参考:自然に学ぶ技術が地球を救う Part.1
http://www.japanfs.org/ja/join/newsletter/pages/031328.html

(インタビュアー 枝廣淳子)

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石田 エコだ、エコだとみんな言っていますが、僕は「エコ・ジレンマ」に陥っているんじゃないかと思っているんです。日本には最先端のエコのテクノロジーがあって、生活者の環境意識も世界で最高レベルなのに、どんどん環境は劣化している。これが「エコ・ジレンマ」です。

エコ・ジレンマには理由が2つあって、1つはエコテクノロジーやエコ商品が消費の免罪符になっていること。もう1つは、エコだというのに、エコの使い方を取扱説明書に一切書いていないことです。それどころか、エコだからつけっ放しでいいですよ、なんて書いてあったりする。この2つがエコ・ジレンマの理由だということは、ほぼ証明できています。

つまり、消費の免罪符になるようなエコのテクノロジーは、作れば作るほど環境劣化が進むわけです。そこに一石を投じなければいけない。僕はもう2年ぐらいそう言い続けているんだけれども、だんだん企業の方々も納得してくれ始めている。それでライフスタイルに責任を持つという概念が出てきたわけです。

――それが世界にも何らか伝わっていかないといけないですよね。

石田 世界にはライフスタイルから入ると伝わりにくいけれども、こういうテクノロジーを使えば、おのずからライフスタイルが変わるという形で伝えられます。

――具体的に、ライフスタイルとテクノロジーの関連性を教えて下さい。

石田 今やっているトンボなんかもそうだけれども、僕たちがバックキャストでライフスタイルを考えると、大型の風力発電機は出てこないんですね。軒先でカラカラ、カラカラ回っている風力発電機の絵しか描けないんです。

たとえば子どもが「お母さん、ゲームやりたい」と言うと、お母さんが子どもに「ゲームやってもいいけど、自分でつくった電気でおやり」と答える。そういうライフスタイルが見えてくるわけです。そういうライフスタイルができれば、子どもはエネルギーのこともちゃんとわかるし、すごく大事にする。それでいいと思う。

それに必要なテクノロジーは何かと考えます。そのとき、自然のドアをノックするというのが僕たちのやり方なんです。すると、虫の中で最も低速で滑空ができる、というトンボが見えてくるわけです。「じゃあ、トンボのメカニズムを使って羽根を作ろう」と言って、トンボをやっている先生を探しに行きます。今、風速20センチ/秒で回り始める「トンボの風力発電機」ができています。

――風速20センチ!

石田 はい。2メートルじゃないんです。そして風速80センチ/秒でフルパワー。できるんですよ。

――それって、商品化できないんですか?

石田 あと1、2年でできます。きっと1万円ぐらいで。

――どれぐらいの電気がつくれるんですか?

石田 大体数ワットですから、5、6基置けばいい。風速20センチで回るということは、ほとんど24時間回り続けます。今の大型風力発電機は1割も回っていませんが、いつもカラカラ回っている。発電した電気は、いらなくなった携帯電話の電池にどんどんためていけばいい。たまった電池を大きな電池に移し替えるシステムも、もうできあがっています。

若い子たちは何となく気がついています。おそらく小学生も含めて、本能的にこのままではおかしい、と。最近、モノを買わなくなったという傾向も、間違いなくその方向に進んでいます。

そこに火をつけてあげるようなことをするのが、僕たちの仕事だと思っています。そうしないと子どもたちに申し訳ない。今の小学生たちが2030年には、ちょうど30歳ですよね。もっとも恐ろしいのは、途上国が今の先進国と同じような発展の過程を突き進んでいることです。途上国に、「そんなの跳び越して、こっちのほうがカッコいいよ」と見せていくのに、あと10年ぐらいしか余裕がないでしょう?

とにかくエネルギーも資源もないこの国が生きていくのには、アジアから尊敬されるしかありません。アメリカから尊敬されなくてもいいけど、アジアから尊敬されなければいけない。そのためには、ライフスタイルそのものを知的なレベルで高め、維持して、そこにあこがれるような状態をつくらないといけない。それはピカピカ、キラキラの欧米型では決してない。日本にはできます。この震災でよくわかったけど、そんな暮らし方の原点を失っていない。ちゃんと持っています。

――それは希望ですね。

石田 希望です。本当に持っている。失っていない。それを今のうちに、希望のドアが閉じないうちにやりたいというのが、僕の思いです。僕は別に、自然に固執しなくてもいいと思っています。ただ、地下資源型のテクノロジーでそういうライフスタイルを作ろうとしてもできないので、自然のテクノロジーで、という話です。

おそらく、自然のテクノロジーの前にもう一段、トランステクノロジーみたいな、地下資源型のテクノロジーだけど地上型の生命文明という新しい文明を作るためのテクノロジーの段階がある。それに続いてバイオミメティックス(生物模倣技術)みたいに自然を使ったテクノロジーになっていく。おそらく、そういうふうなステップになるだろうと思います。

JFS参考記事:JFSバイオミミクリ・プロジェクト
http://www.japanfs.org/ja/pages/008926.html

石田 人間らしく生きるためには、豊かさが必要だと思うんですね。その豊かさをテクノロジーが担保するのであれば、テクノロジーはサポート役です。でも、今これがひっくり返っている。「豊かでなければ人間らしく生きられない」となってしまっているので、「テクノロジーがまわりにいっぱいないと豊かじゃない」と、売るほうもそう言う、買うほうもそう思っている。

それを本来の形に戻さなくてはいけない。「人間らしく生きるためには豊かさが必要で、その豊かさをテクノロジーが作りましょう」と。そうするとテクノロジーは、人間らしく生きるというところにちゃんとコントリビュートする。それがテクノロジーがライフスタイルに責任を持つということなんです。


本プロジェクトは、財団法人 日立環境財団(2011年度環境NPO助成)の支援によって実現しました。

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