ニュースレター

2010年11月23日

 

「Live Positively -世界をプラスにまわそう-」世界共通の事業指針で持続可能な社会とビジネスの成長を目指す ~ 日本コカ・コーラ株式会社 

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JFS ニュースレター No.95 (2010年7月号)
シリーズ:持続可能な社会を目指して - 日本企業の挑戦 第93回
http://www.cocacola.co.jp/


現在、世界200カ国以上で飲まれているコカ・コーラ社製品。その誕生は1886年にアメリカのジョージア州で、薬剤師ジョン・S・ペンバートン博士が独自のシロップを考案したことに始まります。つまり「コカ・コーラ」はその誕生から既に120年以上の歴史があるのです。一方、日本での事業活動は1957年の日本飲料工業株式会社(現日本コカ・コーラ)設立に始まり、現在では炭酸飲料のほか、コーヒー飲料、茶系飲料など、60種類以上のブランドを展開しています。

世界各国で事業活動を展開するザ コカ・コーラ カンパニーでは、現在私たちが直面する地球環境や社会、経済などの複雑に絡み合う多くの問題に対応し、持続性のあるビジネスを実現することを目的に、新しい事業指針「Live Positively-世界をプラスにまわそう-」を掲げています。この事業指針は、「市場」「環境」「社会」「職場」という4つの切り口から持続可能な社会の実現に取り組むCSRフレームワークを形づくるものでもあります。「環境」分野では、「温暖化防止・エネルギー削減」「サスティナブル・パッケージ(持続可能な容器)」「水資源保護」という3つの重点分野を挙げています。

今回は、その中でも特に重点分野として近年注力してきた取り組みである「サスティナブル・パッケージ(持続可能な容器)」の開発と省エネ型自動販売機の開発と導入推進、さらに世界共通の課題である「水への取り組み」についてご紹介しましょう。


軽量化を追求した容器開発

「飲料メーカーとしては、容器の問題は環境問題と同義と言っても過言ではありません。70年代に取り組んだゴミの散乱防止とリサイクル啓発活動に始まり、開発面においても持続可能な容器とは何かを常に考えてきました。2004年ごろよりコカ・コーラシステムでは、『使いやすさ』『環境対応』『楽しさ』の3つの要素がバランスよく組み合わさった『サスティナブル・パッケージ(持続可能な容器)』という独自のコンセプトのもと、開発に取り組んでいます」と、広報・パブリックアフェアーズ本部環境パフォーマンスマネジメントグループのマネジャー大西健太郎さんは言い、ペットボトルに関するさまざまな取り組みについて説明してくれました。

環境対応にもかかわる容器の軽量化を進めるにあたっては、強度の問題があり、軽くても丈夫であること、使いやすいことを追求しながら、開発を続けてきました。現在のところ、その集大成ともいえるのが、2009年に登場した「ecoるボトル しぼる」です。このボトルに入った新ウォーターブランド、「い・ろ・は・す」の登場は画期的でした。520ミリリットルの容器が、同社の従来水製品に比べて約40%も軽量化され、飲んだ後にはボトルを縦にぎゅっと手でしぼれるようにしたことで、飲用後の容器保管のスペース削減につながります。さらに2010年4月から、3月発売の「爽健美茶」「爽健美茶 黒冴」に続き、それまで100%石油由来だったボトルの原料に、サトウキビから砂糖が精製される際の副産物である糖蜜などを素材の一部(5~30%)に利用した「プラントボトル」を「い・ろ・は・す」にも導入しました。

JFS関連記事:日本コカ・コーラ、サトウキビのペットボトルを導入
http://www.japanfs.org/ja/pages/029800.html

「い・ろ・は・す」とは、日本の「いろは」と「LOHAS」を合わせた言葉で、緑色を配したさわやかなパッケージで大ヒット商品となり、「容器包装3R推進環境大臣賞」「地球環境大賞」「グッドデザイン賞」ほか、数多くの賞を受賞しました。

「飲み終えた後は手で簡単にしぼって小さくできるので、消費者のみなさんが、実際にエコを体感できるのではないでしょうか。日本以外では台湾と中国で既に導入済みですが、ほかの国へも順次展開していく予定です」と、大西さんは話しています。また、将来の容器については「100%再生可能な植物由来のプラントボトルを目指して、現在、小麦の茎、木屑、トウモロコシの茎葉など、食用ではない植物由来原料を使えないかと研究を進めています」。


環境や災害にも対応。多様化する自動販売機

同社は日本のコカ・コーラシステム全体で、2010年までに2004年度比で、製造、物流、販売、オフィスで、CO2排出量を約36万トン(約18.5%)削減するという目標を定めています。4部門の中では販売が突出して高くなっていますが、その多くを占めるのは全国に98万台あるという自動販売機です。そこで、さまざまな省エネ対策を講じています。

2008年に発表された次世代型自動販売機「ecoる/E40」は、ノンフロン・ヒートポンプ、真空断熱材、LED照明を採用し、この組み合わせによって同社の従来機に比べて約40%の省エネを実現しました。

さらに2010年3月、自動販売機上部にソーラーパネルを設置した「ecoる/ソーラー」が誕生しました。ソーラーパネルによる蓄電で、"夜間照明の消費電力量ゼロ"※ を実現したモデルです。大阪市の関西テレビ放送に初めて採用され、2010年度中には全国で1,500台の設置を目指しています。国内の自動販売機を、順次省エネ型の機種に取り替えていくことで、さらに今後の省エネ化を進めていきます。

※算出根拠についてはプレスリリースをご参照ください。
http://www.cocacola.co.jp/corporate/news/news_20100316.html

JFS関連記事:コカ・コーラ、ソーラーパネル搭載の自動販売機を設置
http://www.japanfs.org/ja/pages/029985.html

また自動販売機は、ほかにもさまざまな側面で社会に貢献できる可能性を持っています。その一つが、災害への対応です。コカ・コーラシステムでは、全国の各自治体と協力して、災害時における情報の伝達と飲料確保を目的として、災害支援型自動販売機の導入を進めています。この自動販売機の特徴は、災害時に商品の無料提供を行う機能や、電光掲示版に災害情報を流す機能があることです。また、地域の特色に応じた豊かなまちづくりを目指して、動物保護やNPO活動支援、さらには地域のプロスポーツチームの活動支援など、さまざまな募金型自動販売機の設置も進めています。

また、最近のユニークな事例として、沖縄本島北部のやんばる地区の自動販売機にICレコーダーを付けて、ヤンバルクイナの鳴き声を録音し、生態調査をするというものがあります。ヤンバルクイナは、やんばる地区のみに生息する飛べない鳥で、国の天然記念物に指定され、日本の鳥類の中で最も絶滅の危機が迫っている種の一つ。沖縄コカ・コーラボトリング社やNPO法人「どうぶつたちの病院」との協働プロジェクトで、録音データから鳴き声を解析するなど、生物多様性保全の一環として注目されます。


水の持続的な活用を目指して

容器に関する取り組みやエネルギー削減に関する取り組みと並んで、世界のコカ・コーラシステムが力を入れる分野が水資源保護です。清涼飲料を扱う企業にとって、水は最も大切な資源の1つですが、現在は地球規模で水不足などの深刻な問題に直面し、水を持続的に利用していくことは、企業にとっても社会にとっても緊急課題といえます。

ザ コカ・コーラ カンパニーでは、「2015年には水資源管理のグローバルリーダーになる」という目標を掲げ、2004年より全世界で「水資源管理プロジェクト」を展開し、製造過程における水使用量削減、製造過程で使用する水の循環、地域社会および自然環境の水源保護の3つを推進しています。

水資源管理の一環として推進している「水源保護プロジェクト(Source WaterProtection)」では、世界中のすべての工場の水源調査とリスク査定を実施し、調査結果に基づいた水源保護計画の策定を目的としています。日本では、コカ・コーラウエスト大山プロダクツの大山工場(鳥取県)と、コカ・コーラセントラルジャパンプロダクツの東海工場(愛知県)を先行パイロット工場として、既に調査を実施していますが、今後2012年までに国内の全29工場で同様の調査を実施し、水源保護活動につなげていく計画です。

最終的には、適切な処理を前提とする工場からの排水管理と、地域の水源保全活動を通じて、飲料製品の製造で使った量と同等の水を、自然に還元していく"ウォーター・ニュートラル"を目指しています」と、サスティナビリティー推進室のマネジャー岡部容子さんは今後の展望を語ります。

地球温暖化や水問題など、一企業としてだけでなく、社会全体で持続可能な取り組みをしていかなければならない時代。このような時代にこそ、「LivePositively -世界をプラスにまわそう-」という共通の指針を軸として、企業の取り組みを推進していくことが重要になっていくといえるでしょう。

(スタッフライター 大野多恵子)

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