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2005.05.01 Sun
【ニュースレター】持続可能性指標について

JFS ニュースレター No.32 (2005年4月号)

ジャパン・フォー・サステナビリティーのフォーには2つの意味が込められています。

1)持続可能な社会に「向けて」日本が変わっていくこと
2)持続可能な社会の「ために」日本が努力、貢献することで、世界が変わっていくこと

ジャパン・フォー・サステナビリティーでは「指標プロジェクト」という、主として1)のための基幹プロジェクトがあり、近くその成果をWEBで公開予定ですので、楽しみにしてください。今回は指標開発の歴史的背景と、基本的な意義について書いてみます。

そもそも持続可能性とは何でしょうか?

最も有名なものは1987年ブルントラント委員会によるもので、それは将来世代に対する現在世代の責務、世代間の公平性を中心概念に置いています。それ以外にも、WBCSDによるものや、環境NGOであるナチュラルステップの4つのシステム条件、GRIのトリプルボトムラインなど、世界には様々な定義が存在し、概念自体も進化しています。

この領域では、ハート女史という方のホームページsustainablemeasuresが充実しており、そこで様々な持続可能性の定義が紹介されています。
http://www.sustainablemeasures.com/Sustainability/DefinitionsDevelopment.html (英語)

日本では、一時期、環境、経済、エネルギー3つのバランスをどのように取るべきかという観点から、トリレンマという言葉が使われていましたが、持続可能性という概念そのものに関する考察の掘り下げや議論は、今までそれほど活発には行われてはいないようです。

持続可能性そのものが定義できたとして、持続可能な社会を測定するためのモノサシ、尺度が必要になってきます。それが指標です。

持続可能な発展のために指標の開発、環境情報の整備が必要不可欠であることは、1992年リオの地球サミットで採択されたアジェンダ21の第40章で提示されました。これを一つの契機として、国単位、地域単位での指標開発が全世界でさかんに行われるようになりました。

リオサミット以降の、国際的な概念フレームワークとしては、国連CSDの持続可能な開発指標プログラム、OECDによる各国の状況報告などが有名です。
http://www.oecd.org/env/indicators/ ,OECD,Paris(英語)

国レベルで、持続可能性指標を持っているのは、私たちが調べた限りではUK、ドイツ、スウェーデン、スイス、フィンランド、デンマーク、オーストリア、カナダ、オーストラリア、フランス、アメリカなどがあります。

紙面の都合で詳細内容を紹介することができませんが、どれも包含性、網羅性よりも理解可能性や代表性に重点を置き、10から40個程度のヘッドライン指標をわかりやすく設け、持続可能性の進捗を測定し、公開しています。

日本では現在、残念ながら国単位の持続可能性指標が存在しません。

そのため、市民やNGO、自治体、企業など個別のセクターでの環境や持続可能性への取り組みの進展はある程度わかりますが、国全体での総合的な進捗を定量的に俯瞰することができないことが課題です。

今後セクターの垣根を越えた議論がさらに進み、国レベルでの持続可能性指標が開発されることが望まれます。

一方自治体や地域コミュニティレベルでも、数多くの指標開発事例があります。これらは一般にはローカルアジェンダと呼ばれます。

海外で代表的なものでは、たとえばサステナブルシアトル、サステナブルピッツバーグなどが挙げられます。
http://www.sustainableseattle.org/(英語)
http://www.sustainablepittsburgh.org/(英語)

自治体レベルの場合、選んだ指標の妥当性や結果そのものより、指標を選別する過程にいかに市民やNGOが参加し、自由に意見を述べて、議論がなされたか、参加と合意形成プロセスがより重要かと思われます。

日本の場合、国の環境基本計画をベースとして、多くの自治体でローカルアジェンダが策定されていますが、大半は「環境」の概念がほぼ全てを占めており、経済や社会、暮らしやすさといった観点があまり入っていません。

そうした中、私たちが調べた限りでは、環境指標というよりむしろまちづくり指標という名称で、より持続可能性に近い総合的な指標開発に先進的な取り組みを行っている事例がいくつもありました。

たとえば、東海市、沼津市、横須賀市、枚方市、千里ニュータウン(吹田・豊中市)などです。

http://www.city.tokai.aichi.jp/~seisaku/index_iinkai.html
http://www.city.numazu.shizuoka.jp/sisei/numazu_shi33/
http://www.city.hirakata.osaka.jp/freepage/gyousei/kikaku/machidukuri/top.htm

いずれも広範な視点でまちづくりを考えており、持続可能性の概念がそこに散見されます。

日本のNGOでは環境自治体会議が、早くからこうした方面の研究と情報ネットワーキングを行っています。
http://www.colgei.org/

指標はひとつのモノサシではありますが、こうした観点から持続可能性やそのフレームワークを考えることも、時に重要と思われます。


(多田博之)


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