プレスリリース
JFS2005PR01 2005年6月8日 ジャパン・フォー・サステナビリティ
環境NGO:ジャパン・フォー・サステナビリティ(共同代表:枝廣淳子&多田博之)では、約200にのぼる持続可能性関連データをカテゴリーごとに収集、分析し、その中から20のヘッドライン指標を選別。これらの指標を用いて日本ではじめて、日本全体の持続可能性を定量評価、試算しました。その結果、2050年を目指すべき年(満点)として、2005年の数値は33.5点。1990年の数値が41.3点であり、対90年比で約19%日本の持続可能性が後退しているという試算結果が出ました。
この測定はまだ実験段階ですが、日本のあるべき像と現状とのギャップを可視化し、一つの問題提起を行うことで、持続可能な日本の構築に向けた広範な社会的議論を喚起し、日本全体の総合戦略を立案するきっかけづくりを目的としています。
指標の選定にあたっては、海外数カ国の国別指標や研究事例をベンチマークし、持続可能性を定義から見直し、日本のあるべき姿をフレームワークとして描いた上で、理想と現実との乖離を測るモノサシとして、代表的でわかりやすい指標を選び出しました。
私たちは、「持続可能性とは、人類が他の生命をも含めた多様性を尊重しながら、地球環境の容量の中で、いのち、自然、くらし、文化を次の世代に受け渡し、よりよい社会の建設に意志を持ってつながり、地域間、世代間を越えて最大多数の幸福を希求すること。」と定義し、それらは
- 資源・容量
- 時間的公平性
- 空間的公平性
- 多様性
- 意志とつながり
の5つの要件から構成され、
- 環境
- 経済
- 社会
- 個人
の4つの領域に分類されると考えます。
これらのフレームワークに沿って日本固有の事情も考慮し、持続可能な日本のあるべき姿を描きました。20の指標は、4つの領域のそれぞれ下記の5つのサブカテゴリーから選ばれています。
| 環境: |
1.生物多様性 2.温暖化 3.資源循環 4.水・土・空気 5.環境教育 |
| 経済: |
1.エネルギー 2.資源生産性 3.食糧 4.財政 5.国際協力 |
| 社会: |
1.安全 2.モビリティ 3.ジェンダー 4.伝統・文化 5.お金の流れ |
| 個人: |
1.生活満足 2.学力・教育 3.コミュニティ参加 4.健康 5.生活格差 |
1.環境
100点満点で、90年16.4点から25.0点とやや点数が改善しています。 これはグリーンコンシューマの増加や社会全体の環境意識の向上を高く評価したためですが、一方で温暖化や資源循環に関しては、ここ数年の様々な努力にもかかわらず、結果数値の改善には容易につながっていません。意識を実行動につなげ、現実の環境負荷削減に結びつけること、そうした社会システムの転換が今後急がれる課題です。
2.経済
100点満点で、90年37.6点から18.2点と点数が大きく悪化しています。 将来世代との公平性の点で、債務残高が大幅に増加していることは大きな問題です。持続可能な自立型経済のためには、食糧・エネルギー自給率が非常に低いことも継続した課題であり、経済大国と言われる日本ですが、4分類中で最も低いスコアとなりました。今後、急速な少子高齢化の中で、成長至上主義の規模の経済から、いかに持続可能な経済にパラダイムシフトするか、新しい価値創造パターンの構築が今後の課題です。
3.社会
100点満点で、90年43.4点から35.4点と点数がやや悪化しています。 女性の社会進出やSRIのような企業の社会的責任に目を向けた投資形態も生まれており、これらは社会変動の明るい兆しです。しかし日本的価値の大きな要素である伝統産業が壊滅的な状況で、安全やモビリティも含め、持続可能性がよくなったとは言い難い状況です。
4.個人
100点満点で、90年67.6点から56.4点と点数が悪化しています。 日本は国際的にも長寿国で高水準の生活の質は確保されており、スコア全体は高いものの、自殺者数が過去最高レベルにのぼり、OECD諸国中でも極めて高く、生活保護率に代表されるように生活格差が拡がっていることなど、持続可能性を損なう兆候が散見されます。
今回は問題提起を主眼とした試算ですが、今後は広い分野から専門家も交え、国際比較や活発な議論を行い、指標や全体フレームの精緻化をし、経緯や成果を国内外に公開します。本プロジェクトを進化させ、この国の形を少しでも明瞭にし、個別の取り組みを一筋の線につなげ、持続可能な日本構築に向けた広範な議論を喚起することを私たちは希求し、努力を重ねてまいります。
本件お問合せ先:
JFS事務局 TEL:044-933-7639 電子メール:info@japanfs.org
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