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| Posted by jfs |
2004.06.08 Tue
【イベント報告】カンザス大学プレゼンテーション(日米学生環境会議)

まず初めに、コミュニティにおける持続可能性について、カンザス州ローレンスの例をお話したいと思います。

ローレンスの持続可能性への取り組みの一つに、スマートグロースがあります。この例として、ローレンスのラングストン・ヒューズ小学校を紹介します。この小学校を設計したのはローレンスの建築家、デイビッド・ダンフィールド氏で、パトリシア・グラハム教授のご主人でもあります。この小学校をスマートグロースの例としてあげる理由はいくつかあります。まず、とても窓が多いこと、ブラインドを少なくし自然光をできる限りたくさん取り入れるように設計されていることが挙げられます。また、建物には自然素材が多く使用されています。例えば、こちらの壁紙には、カンザス州でたくさん採れる小麦の残りかすが使われています。

また、ごみの排出量とその処理方法についてお話します。以前、「ローレンスのごみ」というテーマでローレンス市の職員をお招きし、お話をしていただきました。ローレンスから出るごみで一番大きな割合を占めているのが、葉っぱや草などを含む庭ごみです。続いて、耐久消費財、紙類、ガラスの順に多く出されています。ローレンスのリサイクルプログラムには制約があり、他の都市では一般的な道路脇収集が行われていないという特徴があります。道路脇収集とは、リサイクル可能な廃棄物を道路に出して、それを収集するという方法です。しかし、ローレンスのあちこちにゴミの収集所がありますので、この意味ではリサイクルやごみの収集が良くできていると言えます。

続いて、ローレンスでの教育と地域社会の意識向上について紹介します。ローレンスでの一番大きなイベントはアースデイです。様々な催し物を開き、情報提供ブースの設置やレクチャーなど、環境にやさしい取り組みを行っています。

ローレンスにおける企業の持続可能性に向けた取り組みは、自然を守ろうという動機からではなく、市民の積極的な働きかけから始まっています。具体的な例をあげてお話しますと、ローレンスは小さな町ですので、ウォルマートのような大型ショッピングモールには進出してほしくありませんでした。ウォルマートのローレンス進出計画が明らかになった時、コミュニティとウォルマートで交渉を行い、「グリーン」・ウォルマートつまり環境に優しいウォルマートを建てることで合意しました。ローレンスのウォルマートには、市民向けの大規模なリサイクルセンターが設置されています。

また、ローレンスは学生の町なので、コーヒーショップは学生が集う場所としてとても人気があります。そこで、学生や住民がローレンスにあるコーヒーショップに働きかけ、フェアトレードによるコーヒーや、有機栽培のコーヒーを楽しめるようになりました。

時には、地元の企業の持続可能性と大企業との間に対立が起こることもあります。ローレンスには、アメリカインディアンのコミュニティがあります。ネイティブアメリカンの方々は、日本のみなさんと同じように、暮らしている土地をとても神聖なものと考えています。ですから、新規店舗を建設し、輸送のための高速道路を作る際に大企業と利害が対立するのです。

次は、ローレンスと他のコミュニティを比較してお話したいと思います。まず、ローレンスと小さな都市の比較から、例を出してお話します。カンザス州のマンハッタンには、公共交通機関がありません。公共交通機関をつくる資金を得るためには、人口5万人以上という条件があるからです。しかし、ここマンハッタンにもスマートグロースの事例がいくつかあります。都市の再開発を行って、スプロール現象を食い止めようとしています。マンハッタンでは、年間1万1,200トンのごみが出されています。このような小さな都市では、ローレンスのようにリサイクル収集所が利用できます。ですが、小都市の多くは、道路脇収集を行っていません。

また、マンハッタンでもローレンスと同じように様々な教育や市民の意識向上への取り組みが行われています。マンハッタンでは、「カンを集めて自然保護を」というイベントを行って、リサイクルのコストを学んでいます。その他ローレンス同様、アースデイ祝賀行事も行っています。

では次に、ローレンスと大都市を比較して、カンザス州オーレース、オーバーランドパークという地域を例にお話します。オーレースは単独で、毎年3万5,380トン以上のごみを排出しています。道路脇での収集とごみ収集所でのリサイクルの両方が利用できます。カンザス市中心部のごみの多くはジョンソン郡ごみ埋め立て地に持って行きますが、ごみは焼却せずにそのまま捨てられています。

教育や意識向上への取り組みとしては、先ほどお話した都市と同じように様々なプログラムが行われています。オーレースでは、「シーダー湖アクアフェスタ」を開催していますし、オーバーランドパークでは、「きれいな川の日」を設け、川のごみを拾う活動を行っています。また大都市のスマートグロースの例には、バスなどの公共交通機関の利用があげられます。

次に、学校レベルの持続可能性への取り組みを紹介します。まず初めに、カンザス大学生約200名を対象に行ったアンケート調査結果についてお話したいと思います。

まず、「持続可能性に向けた活動には、具体的に何が含まれるか?」という興味深い質問をしました。その結果、58.8%の学生が持続可能性にはリサイクルが含まれると答えました。また、20.9%の学生が、ガソリン価格の低下も持続可能性への活動に含まれると答えました。これにはとても驚きました。そして、58.8%の学生が、将来世代のために地球を維持することが持続可能性への活動と考え、スマートグロースでは50.7%でした。30.3%の学生は、持続可能性がどのようなものか分からないと答えています。

次に、「よくリサイクルするものは何か?」と質問したところ、アルミ缶、新聞、ペットボトルの順に、リサイクル率が高いことが分かりました。また、一番少ないのが乾電池でした。

その他、カンザス大学生の交通手段についても質問しました。55%の学生が、市営バスや大学が運営するバスなど、時々公共交通機関を使うと回答しました。頻繁に使用すると答えたのは、たった17%です。一方、71%の学生が、交通手段として車をよく使うと答えました。誘い合わせて乗り合わせるカープーリングというシステムを時々使う学生は、たった16%でした。このカープ−リングシステムは、大学独自のもので、公共機関が行っているものではありません。自転車においては、49%の学生が時々使うと答えました。また、55%の学生が良く歩くと回答しました。

それでは次に、カンザス大学生のリサイクル活動への見解についてお話します。0.1%の学生が、カンザス大学におけるリサイクルの活動がすばらしいと答え、多くの学生は、良好あるいは普通と答えました。大学の寮に設置されているリサイクルボックスには、新聞を回収する箱、カンを集める箱、その他の紙を集める箱、その他のごみを集める箱があります。

続きまして、カンザス大学の環境スチュワードシップ・プログラムについてお話したいと思います。このプログラムは、カンザス大学がスポンサーとなり、大学やキャンパス内のグループを対象に、総合的な廃棄物削減プログラムや環境意識の向上・教育プログラムを開発し、実行するというものです。このプログラムは、学生が雇用されるという形態で運営されていますが、大学からプログラムの進歩を見る監視役が一人参加しています。2002年度には、たった2ヶ月間で、18トンのダンボールと30トンの新聞が回収されました。

次に、カンザス大学生による環境安全意識向上委員会(SEAB)の活動を紹介します。この組織は、様々な学生グループから選ばれた投票権を持つ学生5名と大学職員1名から構成されています。今春、学生が支払う料金を年間1ドル値上げし、集まった2万6千ドルを環境活動に使うという決議が、81%の学生による投票で行われました。この資金から、移動式のごみ回収トレーラーを購入したりしました。

また、ローレンスに住む学生には、共同生活に重きを置くというユニークな特性があります。この特性も影響して、学生がATハウスという家を考えました。ATハウスには、3つの重要なポイントがあります。

まず1つ目は、学際的な講座の開設です。ここでは、学生と教師、及び企業からの参加者が集まり、産業デザイン、工学、建築などを勉強します。学生はアメリカの様々なケーススタディを学んだり、産業界の方々といろいろな話をしたりします。例えば、断熱材などの建築素材について、専門的なことを産業界の方と話して勉強する学生もいます。その他にも、人に関する活動や水利用について勉強しています。持続可能な社会を確立するためには、ポジティブな環境の中で生活をすることが大切ですので、人と人の関わり方を勉強することは重要だと言えます。そして、この学際的な講座から学んだ建築素材や、人と人の関わり方などの知識を、既存のコミュニティ共同ハウスであるサンフラワーハウスの縮尺模型を作成して研究し、実際のハウスに応用しました。

ATハウスの2つ目のポイントは、学生グループです。ATハウスに関わる学生グループは、助成金の申請、様々な発表や展示、ハウス内のツアーなど、様々な情報発信を行っています。また、ハウスを通じて得た情報をコミュニティと共有する活動なども行っています。

そして3つ目のポイントは、実際に学生が居住する空間としてのATハウスです。このATハウスには、"The Ad Astra House" という名前がつけられました。"Ad Astra"には、様々な困難を乗り越えて、星に辿りつくという意味があります。なぜATハウスに住みたいのかインタビューを受けた10名の学生が一緒に共同生活を行い、様々な教育的な活動も行っています。

また、ATハウスは、地域コミュニティに開かれた家です。地元の方々は、いつでもここに来て、持続可能な社会をつくるためにどんなことができるか、また、実際にどういうことが行われているかを見ることができます。そして、様々なワークショップを開き、人々に持続可能な社会のために何ができるのかを伝えています。

カンザス大学では、ATハウスで活動する学生の他にも、エンバイロンズ、緑の党、というグループに属して活動する学生がいます。教育に関する活動や情報を提供したり、地元の政府と共に、持続可能性という問題に取り組んだりしています。

それでは最後に、環境触媒反応センター(CEBC)を紹介します。CEBCは、アメリカ連邦政府の組織で、全米科学財団に所属する工学研究センターの一つです。アメリカの科学と技術を向上し、世界における競争力を高めることを目的としています。同財団は、カンザス大学に対し、5年間に渡って1,700万ドルのお金を提供しています。

プラスチックやガソリンなど、どんな製品でもある化学反応を経て作られます。この化学反応は、通常とても遅いスピードで進みます。そこで、そのプロセスを速めることに触媒が使われます。CEBCではこの触媒を有害物質を出さずに、同じ効果が得られるように研究しています。つまり、ごみや有害物質を出す前に防止する、という一番重要なポイントを研究しているのです。

それではCEBCを、次の3つのポイントからお話したいと思います。まず1つ目は、調査研究です。CEBCでは、私たちが日常使っている製品をより良い方法でつくることができないかを研究しています。カンザス大学のCEBCが主要機関ですが、CEBCはアイオワ大学、セントルイスのワシントン大学とも提携しています。

CEBCの2つ目のポイントは、産業との提携です。ペットボトルや家庭洗剤、ガソリンなどは化学反応によって作られますが、製品を製造するのは企業です。ですので、産業と対話を持つことが大切になります。

3つ目のポイントは、教育です。自分たちが研究開発した技術を、次の世代に伝えることがとても重要だと考えています。CEBCでは、様々な奨学金を出し、学部・大学院の学生たちに研究を促しています。また、義務教育向けに環境育プログラムも提供しています。

プラスチック製品、ガソリン、洗剤などを製造している会社は、アメリカで100万の雇用を創出しています。このことからも、アメリカの科学産業が、どれほど大規模なものか分かると思います。そして重要なのは、毎年100億ドルという巨額なお金が、汚れたものをきれいにするためだけに使われているという点です。汚染を事前に防ぐことができれば、環境にやさしいだけでなく、会社や消費者にもメリットが生じます。

また、CEBCが行っている活動は、アメリカだけでなく社会全体、地球規模で有益な活動です。重要なのは、持続可能性と私たちの生活の質とのバランスです。CEBCでは、どちらかを選ぶのではなく、その二つの中間地点を選ぼうとしています。
それでは続いて、国レベルでの問題についてお話します。

今、アメリカで一番深刻な問題は、ガソリン価格です。アメリカでのガソリン価格が、史上最高値を記録し、企業と個人に大きな打撃を与えています。そしてアメリカでは、ガソリン価格低下をめぐる様々な議論がなされています。政府が補助金を出し、ガソリン価格を低下させるべきだという意見や、市場の動きに任せるのが良いという考えもあります。大規模な公共交通機関の使用で、ガソリンの消費を減らすことができるという意見もあり、多くの人々がどうしたらこの問題を解決できるかを考えています。しかし一方で、アメリカのガソリン価格は、世界中のどの国よりも低くなっています。

アメリカは、世界最大のエネルギー消費国です。世界の石油供給量の40%、天然ガス供給量の23%、石炭供給量の23%を消費しています。消費されるエネルギーのうち、27%が交通に、36%が産業に使われています。産業で使われるエネルギーとは、モノを製造する過程に使うエネルギーと、それを輸送する過程に必要なエネルギーを指します。そして、残りの36%が、電灯や冷暖房設備に代表される家庭用、商業用に使われています。

次に、私たちが直面している地球温暖化の問題についてお話します。カンザス大学生約200名に行ったアンケート調査結果から、80%の学生が地球温暖化は深刻な問題であると考えていることが分かりました。残りの20%は、それほど重要な問題ではないと考えていました。

温室効果ガスが原因で、地球の気温が上がり、天候が変わる現象が起きています。この地球温暖化の問題については、様々な議論が飛び交っています。温暖化が本当に起きているのか疑問視する声もありますし、今の地球の気温は適当なのではないか、という研究結果も出ています。しかし、オゾン層が減少していることも事実ですし、地球上に有害な紫外線が入ってきていることも事実です。様々な動植物も減少しています。

また、国際的に重要な問題に、京都議定書があります。2001年に、アメリカのブッシュ大統領が京都議定書の批准に反対する声明を出しました。企業が京都議定書の基準を満たすために、多くの雇用が失われアメリカ経済が打撃を受ける、と考え反対しました。しかし、カンザス大学生のアンケート結果では、66.7%が京都議定書を支持すると答え、8.1%が不支持、33.3%が分からないと答えました。

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